ED71 |
ED71形は東北本線黒磯-福島間電化開業用として昭和33(1958)年度本予算でED70 1-3号機の3両が量産化に先立つ試作機として登場しました。ED71 1号機は日立製作所,ED71 2号機は東京芝浦電気,ED71 3号機は三菱電機・新三菱重工,と各メーカが1両ずつの製造を担当し,いずれも1959年4月に落成しています。この試作ED71形は大幹線の本格的運用を考慮して設計されており,10‰勾配上で1,000t列車を単機で,25‰勾配上の1,200t列車を重連で,それぞれ引き出す性能を有しています。この結果,軸重は16.0t,総重量は64.0tになりました。主電動機は475kWのMT101が永久並列に接続され,連続定格は初の1,900kWに達しています。歯車比は1:5.47となっています。また,ED70形には当初設置していなかった列車暖房用装置(EG)を標準装備しています。これら3両の試験結果を踏まえ,昭和34(1959)年本予算ではED71 4-32号機が製作され,1960年1-3月に竣工しています。製造会社はED71 4-13号機が日立製作所,ED71 14-25号機が東京芝浦電気,ED71 26-32号機が三菱電機・新三菱重工となっています。これらのED71形は1960年3月1日の福島電化開業とともに,まず白河-福島間の旅客列車牽引を開始し,さらに同年4月1日から黒磯-福島間のほぼ全列車の牽引に就役しています。昭和35(1960)年度本予算では東北本線福島-仙台間電化開業用にED71 33-44号機が製作されました。メーカ配分はED71 33-38号機が日立製作所,ED71 39-41号機が東京芝浦電気,ED71 42-44号機が三菱電機・新三菱重工となっています。これらのED71形は,1961年3月1日の仙台電化開業と同時に急行「青葉」「吾妻」「松島」などの優等列車から順次黒磯-仙台間の牽引を開始しています。続いて,昭和36(1961)年度第3次債務においてED71 45-49が東北本線既電化区間増強用として日立製作所によって製作され,福島機関区に増備されています。このED71 45-49号機は車体側面のフィルタ・採光窓の形状・配置がEF60形によく似た横1列に変更されています。昭和37(1962)年度第2次債務では,ED71 50-52号機が東北本線黒磯-仙台間貨物列車増発用として東京芝浦電気に発注,製作されています。そして,昭和38(1963)年度民有車両計画では,東北本線黒磯-仙台間貨物列車増発用としてED71形のラストグループとなるED71 53-55号機が日立製作所で製作され福島区に新製配置されました。ほぼ同時にED75 1, 2号機が誕生しておりED71形からED75形への移行の速いことが読み取れます。 |
分類 |
機関車番号 |
製造年月 |
製造所 |
予算名 |
主な仕様・履歴 |
試作機 |
ED71 1x |
1959年4月 |
日立製作所 |
昭和33年度
本予算 |
東北本線黒磯-福島間電化開業用試作,1号機の水銀整流器は風冷エキサイトロン,2号機は風冷イグナイトロン,3号機は水冷イグナイトロン,総重量64.0t,台車はDT107 |
ED71 2x |
東京芝浦電気 |
ED71 3x |
三菱電機・新三菱重工 |
1次形 |
ED71 4x ED71 5x ED71 6x
ED71 7x ED71 8x ED71 9x
ED71 10 ED71 11 ED71 12
ED71 13 ED00 00 ED00 00 |
1960年1月
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1960年3月 |
日立製作所 |
昭和34年度
本予算 |
東北本線黒磯-福島間電化開業用
1号機のシステムをベースに自重67.2tに増加,台車は揺れ枕式のDT114 |
ED71 14 ED71 15 ED71 16
ED71 17 ED71 18 ED71 19
ED71 20 ED71 21 ED71 22
ED71 23 ED71 24 ED71 25 |
東京芝浦電気 |
ED71 26 ED71 27 ED71 28
ED71 29 ED71 30 ED71 31
ED71 32 ED00 00 ED00 00 |
三菱電機・新三菱重工 |
ED71 33 ED71 34 ED71 35
ED71 36 ED71 37 ED71 38 |
1960年
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1961年 |
日立製作所 |
昭和35年度
本予算 |
東北本線福島-仙台間電化開業用 |
ED71 39 ED71 40 ED71 41 |
東京芝浦電気 |
ED71 42 ED71 43 ED71 44 |
三菱電機・新三菱重工 |
2次形 |
ED71 45 ED71 46 ED71 47
ED71 48 ED71 49 ED00 00 |
1962年
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1963年 |
日立製作所 |
昭和36年度
第3次債務 |
東北本線既電化区間増強用,車体側面のフィルタ・採光窓の形状・配置を横1列に変更 |
ED71 50 ED71 51 ED71 52 |
東京芝浦電気 |
昭和37年度
第2次債務 |
東北本線黒磯-仙台間貨物列車増発用 |
ED71 53 ED71 54 ED71 55 |
三菱電機・新三菱重工 |
昭和38年度
民有車両計画 |
東北本線黒磯-仙台間貨物列車増発用 |
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ED71 1 |
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No.D70s_050730-119
2005年7月30日
ED71 1
仙台総合車両センター |
ED71 1号機など6両の貴重な交流機関車達が仙総の一般公開に合わせ「みちのく鉄道応援団」や「東日本鉄道OB会仙台地方本部」のボランティアの方々の努力で美しく塗装され蘇ったと聞き,夏休み中の子供達と駆けつけました。当日は新幹線そっちのけでめちゃ撮り。
(2023/02/22追加) |
No.D70s_050730-20
2005年7月30日
ED71 1
仙台総合車両センター
2END側,特徴のあるスカート周り。貫通扉下のステップにもステンレス帯が入っておりオシャレです。
(2005/07/31追加)
(2023/02/22ワイド化) |
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No.D70s_050730-21
2005年7月30日
ED71 1
仙台総合車両センター
ED71 1号機は昭和33年度本予算により,東北本線黒磯-福島間電化開業用の試作機として,日立製作所において製造され,1959年4月に落成しました。1,2,3号機は変圧器と水銀整流器に各メーカ独自の方式を採用しており,この1号機には送油風冷式変圧器と風冷式エキサイトロン水銀整流器が搭載されました。黒磯-白河間での試験結果が良好であったため,ED71
4号機以降の1次形にはこの1号機のシステムが継承されています。 (2023/02/22追加) |
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No.D70s_050730-22
2005年7月30日
ED71 1
仙台総合車両センター
1END側。 (2023/02/22追加) |
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No.D70s_050730-24
2005年7月30日
ED71 1
仙台総合車両センター |
正面から見上げる構図 (2023/02/22追加) |
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No.D70s_050730-32
2005年7月30日
ED71 1
仙台総合車両センター |
1号機の台車はED60のDT106形をベースに車体側アームを揺れ枕固定する全側受支持構造のDT107形としています。1-3号機の落成時には電暖表示灯は取り付けられておらず,1次形以降に設置されたのを受けて追設されました。
(2023/02/22追加) |
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No.D70s_050730-33
2005年7月30日
ED71 1
仙台総合車両センター |
美しい機関車を目にして,わざわざ仙台まで出掛けた甲斐がありました。息子も大喜び。こちらが1END側です。運転席側は塗装が間に合わなかったのかな?
(2005/07/31追加 2023/02/22ワイド化) |
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No.D70s_050730-46
2005年7月30日
ED71 1
仙台総合車両センター |
2END側です。新製された機関車かと見まごう美しさです。素晴らしい! この6月に下の写真1枚でED71のページを作成したのは絶妙のタイミングでした。
(2005/07/31追加 2023/02/22ワイド化) |
ED71 27 |
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No.N8205-9
1982年3月9日
ED71 27[福]
東北本線 郡山 |
郡山で待機する1次形のED71 27号機。1960年3月13日に三菱電機・新三菱重工で落成し,福島機関区に配置されています。試作機の1号機と比較するとジャンパ栓のや台車の違いが目立ちます。1次形では機器構成の見直しで総重量が67.2tに増加しており,台車には揺れ枕式のDT114形が採用されました。なお,シールドビーム2灯化改造されています。
(2023/02/22ワイド化) |
2005年6月18日 ページ新設
2023年2月22日 新製車一覧表を追加
2023年2月22日 写真ワイド化完了,5枚追加
2023年2月22日 キャプション欄左右入替完了
■ 参考文献
交流・交直流電機出生の記録[2] 藤本勝久 鉄道ファン312 1987年 4月号 交友社 (ED71
1-3)
交流・交直流電機出生の記録[3] 藤本勝久 鉄道ファン317 1987年 9月号 交友社 (ED71
4-44)
交流・交直流電機出生の記録[5] 藤本勝久 鉄道ファン320 1987年12月号 交友社 (ED71
45-49)
交流・交直流電機出生の記録[6] 藤本勝久 鉄道ファン322 1988年 2月号 交友社 (ED71
50-55)
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