EF80 |
EF80形は,常磐線の上野-平間旅客列車電化開業用として50両の新製が計画され,まず20両が水戸までの運用に備えて1961(昭和36)年度第2次債務で発注されました。取手-藤代間の交直セクション(直流1.5kV-単相交流20kV/50Hz)を通して運転するための交直流電気機関車としては,ED46形が試作されていました。この試作段階では,旅客用はD形機,貨物列車用はF形機として計画が進められましたが,旅客列車がいずれEC化されるとD形機の転用が難しくなることから,交直流機はF形機一本に絞られることになりました。ED46形に対し,F形化により交流関係機器が大型化することと,交流区間では主変圧器3次巻線から電気暖房(EG)用電源を取得ためMGが不要であるのに対し,直流区間ではEG用MGを必要とすることから,この重量吸収に1台車1電動機方式が採用されました。主電動機は650kWのMT53が開発され,主整流器にはシリコン方式のRS9を採用,1時間定格は1,950kW,軸重16.0t,総重量96.0tとなりました。車体は昭和36年度第1次債務車のED72 3-12で初めて採用されたシールドビームの左右振り分け配置デザインを採っています。続いてEF80 21-30号機が製作されました。配置は勝田,田端両区です。続くEF80 31-40,41-50号機は貨物列車用として電暖(EG)用設備を撤去しており,代わりに死重を積載して軸重16.0tを維持しています。1966(昭和41)年度本予算にて約3年振りに13両が発注され増備されました。EF80 51-58号機が貨物専用機,EF80 59-63号機が客貨両用機です。これらは仕様がかなり異なっており,1次形の心皿式台車でのピッチングが課題となったため,引張棒式の台車(DT135, DT136)への変更,電動機MT53A化などにより軸重は16.3t,機関車重量は97.8tに増加しています。車体では,標識灯の灯体大形化,ヘッドライト形状は従来の凹み状からやや突き出した形に,電暖表示灯を持つ59-63号機では2・3位部分のみ運転室側窓上水切りが電暖表示灯上まで延長されています。また,運転室側窓の端部寄り半分が白Hゴム支持に,車体側面採光窓も白Hゴム支持となっています。 |
分類 |
機関車番号 |
製造所 |
EG |
発注区分名 |
発注名目 |
仕様変更点・履歴 |
1次形 |
EF80 1x EF80 2x EF80 3x
EF80 4x EF80 5x EF80 6x
EF80 7x EF80 8x EF80 9x
EF80 10 EF80 11 EF80 12
EF80 13 EF00 00 EF00 00 |
日立製作所 |
有 |
昭和36年度
第2次債務 |
常磐線上野-平間旅客列車電化開業用 |
引張力伝達方式は心皿式,両端台車DT127,中間台車DT128,前照灯埋込式,総重量96.0t
37号機は前面窓ガラス支持構成が異なり車体角部の曲面ガラスが独立 |
EF80 14 EF80 15 EF80 16
EF80 17 EF80 18 EF80 19
EF80 20 EF00 00 EF00 00 |
三菱電機・新三菱重工 |
EF80 21 EF80 22 EF80 23
EF80 24 EF80 25 EF80 26
EF80 27 EF00 00 EF00 00 |
日立製作所 |
昭和37年度
民有車両 |
EF80 28 EF80 29 EF80 30 |
三菱電機・新三菱重工 |
EF80 31 EF80 32 EF80 33
EF80 34 EF80 35 EF80 36
EF80 37 EF80 38 EF80 39
EF80 40 EF00 00 EF00 00 |
日立製作所 |
無 |
昭和37年度
第1次債務 |
常磐線田端-平間貨物列車電化開業用(第1陣) |
EF80 41 EF80 42 EF80 43
EF80 44 EF80 45 EF80 46
EF80 47 EF80 48 EF80 49
EF80 50 EF00 00 EF00 00 |
日立製作所 |
昭和37年度
第2次債務 |
常磐線田端-平間貨物列車電化開業用(第2陣) |
2次形 |
EF80 51 EF80 52 EF00 00 |
日立製作所 |
無 |
昭和41年度
本予算 |
新金線完全電化用および水戸線電化開業用 |
引張力伝達方式は引張棒式,両端台車DT135,中間台車DT136,前照灯張り出し式,標識灯大形化,側面採光窓Hゴム支持,総重量97.8t |
EF80 53 EF80 54 EF80 55 |
東京芝浦電気 |
EF80 56 EF80 57 EF80 58 |
三菱電機・三菱重工 |
EF80 59 EF80 60 EF80 61
EF80 62 EF80 63 EF00 00 |
日立製作所 |
有 |
上記に加え2・3位部分の運転室側窓水切りを電暖表示灯上まで延長 |
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EF80 36 |
No.D200_100522-18
2010年5月22日
EF80 36
大宮総合車両センター
JRおおみや鉄道ふれあいフェア2010で展示されたEF80 36号機。展示に際し塗装され,美しい状態での公開となりました。EF65
535号機やEF510 501号機と並んでも引けをとらない姿です。サイドのメーカーズプレートはありません。
(翌日追加 2023/03/06ワイド化) |
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No.D200_100522-24
2010年5月22日
EF80 36
大宮総合車両センター
反対側の側面が少し見える写真を追加しておきます。
(2023/03/06追加) |
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No.D200_100522-81
2010年5月22日
EF80 36
大宮総合車両センター
今にも動き出しそうなEF80 36号機。凹んだ形状のシールドビームヘッドライトと,一体型ツララ切りが特徴の面構えです。恒例の正面写真。
(翌日追加 2023/03/06ワイド化) |
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No.D200_100522-83
2010年5月22日
EF80 36
大宮総合車両センター
EF80 36は上の表にあるように,昭和37年度第1次債務にて,常磐線田端-平間貨物列車電化開業用名目として日立製作所で製造されたグループで,EGを搭載していません。スカート回りが非常にすっきりしています。
(翌日追加 2023/03/06ワイド化) |
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EF80 63 |
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No.135-26
1986年10月10日
EF80 63, ED75 39
高崎第二機関区 |
ゆうづるヘッドマークを付けたEF80のラストナンバー63号機がナナゴと並んで展示されました。上の写真の36号機と比較するとヘッドライトがややせり出していることがわかります。EF80はともかく,ED75のパンタが両方上がっているのはなんとなく落ち着きません。
(2023/03/06ワイド化) |
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No.145-22
1987年3月30日
EF80 63 高崎第二機関区 |
JR化直前に公開された高崎第二区の保存機関車群 (2023/03/06ワイド化) |
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No.439-7A
2005年6月12日
EF80 63
碓氷峠鉄道文化むら |
屋外展示ですが保存状態は良く一安心といったところ (2023/03/06ワイド化) |
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No.439-18A
2005年6月12日
EF80 63
碓氷峠鉄道文化むら |
非公式側面
(2023/03/11追加) |
2005年11月8日 ページ作成開始
2005年11月20日 ページ新設
2023年3月6日 新製車一覧表の機関車番号表記方法変更
2023年3月6日 キャプション欄左右入替完了
2023年3月6日 写真ワイド化完了
■参考文献
交流・交直流電機出生の記録 5 鉄道ファン320 1987年12月号 交友社 (EF80
1-30)
交流・交直流電機出生の記録 6 鉄道ファン322 1988年 2月号 交友社 (EF80
31-50)
交流・交直流電機出生の記録 9 鉄道ファン330 1988年10月号 交友社 (EF80
51-63)
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