阪急電車

2000系 2100系 2021系
 2000系は1960年から1962年に42両製作され,現在の阪急電車のスタイルを確立した形式で,戸袋窓のない両開き3扉,アルミ枠の付いたワンタッチで上げ下ろしできる一段下降窓,ゴールデンオリーブのアンゴラ山羊のモケット,薄茶色のマホガニー模様のアルミデコラ板の化粧板など当時としては斬新な新機軸が採用されています。また,磁気増幅器を用いて定格出力150kWの複巻電動機を制御し,回生ブレーキ,定速運転機能も備えています。定速運転の指令速度は,50・80・90・100・105km/hとなっています。阪神急行以来,大阪梅田方にM車を配置するのが慣習となっていましたが,2000系ではMcに2基のパンタグラフを設置するため,大阪方にMcを1両増結することを想定すると隣接する2両分4基のパンタグラフが電車線を押し上げることになるのを避けるため,神戸三宮方にMc車を配置し大阪梅田方はTc車としています。2000系は1961年,栄光の第1回ローレル賞を受賞しています。

 2100系2000系の宝塚線版で1962年に登場,600V専用設計,主電動機の定格電力を100kWに下げ,歯車比は2000系の5.31に対し6.07,また,定速運転の指令速度は45・60・70・80km/hとなっています。

 2021系は1500Vへの昇圧可能な複電圧仕様として1963年から製造された系列で,窓はフレームレスになりロック機構が変更されました。昇圧対応で制御機器が複雑になり,2000系との併結が出来ないことから,1976年からT車化,冷房化改造が行われ,5000系3000系など他形式に編入されています。
■ 新製車
 2000系 (42両)
形式 車番 製造年 主な仕様・相違点
2000
(Mc)
2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2014 2016 2017 2019 2020 1960-1962 神戸向き,パンタグラフ2基搭載,主電動機150kW,歯車比5.31,台車: 2009までFS333, 2011はFS344試用, 2013以降FS345, 2019はKS66C→FS345,定員140名
2000
(M)
2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2015 2018 1960-1962 パンタグラフ2基搭載,主電動機150kW,歯車比5.31,台車:2010までFS333, 2012以降FS345, 2018はKS66C→FS345,定員150名
2050
(Tc)
2050 2052 2054 2056 2058 2060, 2062 2064 2065 2067 2068 2070 1960-1962 梅田向き,台車:2060までFS33,2062以降FS45,2068はKS66B→FS45,定員140名
2050
(T)
2051 2053 2055 2057 2059 2061 2063 2066 2069 1960-1962 台車:2061までFS33,2063以降FS45,2069はKS66B→FS45,定員150名
 2100系 (42両)
2100
(Mc)
2100 2101 2103 2105 2107 2108 2110 2111 2113 2114 1962 宝塚向き,パンタグラフ2基搭載,主電動機100kW,歯車比6.07, 台車: 2105までFS333, 2107はKS66A, 2108以降FS345,定員140名
2100
(M)
2102 2104 2106 2109 2112 1962 パンタグラフ2基搭載,主電動機100kW,歯車比6.07,台車:2104までFS333, 2106はKS66A, 2109以降FS345,定員150名
2150
(Tc)
2150 2151 2152 2154 2156 2158 2159 2161 2162 2164 1962 梅田向き,台車:2154までFS33,2156はKS66B,2158以降FS45,定員140名
2150
(T)
2153 2155 2157 2160 2163 1962 台車:2155までFS33,2157はKS66B,2160以降FS45,定員150名
 2021系 (30両)
2021
(Mc)
2023 2026 2028 2030 2032 2033 2035 2036 2038 2039 2040 2041 1963-1964 神戸・宝塚向き,パンタグラフ2基搭載,主電動機150kW,台車FS345, 2032・2033・2036はKS72A,2035はKS66C流用,定員140名
2021
(M)
2021 2022 2024 2025 2027 2029 2031 2034 2037 1963 パンタグラフ2基搭載,主電動機150kW,台車FS345,2031はKS72A,2034はKS66C流用,定員150名
2071
(Tc)
2071 2074 2077 2079 2081 2083 2084 2086 2087 2089 2090 2091 1963-1964 梅田向き,台車FS45,2081・2083・2086はKS72B,2084はKS66B流用,定員140名
2071
(T)
2072 2073 2075 2076 2078 2080 2082 2085 2088 1963 台車FS45,2082はKS72B,2085はK66B流用,定員150名
・2000系のパンタグラフは落成時は2基搭載,昇圧時に梅田方の1基を撤去,冷房改造時に梅田方に移設
■ 改造車
形式 改造後車番 種車番号 改造年 改造・改番内容
2000 (Mc) 2043 2044 2113 2114 1979 2100系最終編成,昇圧後2000系発生品に機器を取替え主電動機をSE-572B (150kW)に増強,冷房化の際に改番(原番号-70)し2000系に編入
2000 (M) 2042 2112 1979
2050 (Tc) 2092 2094 2162 2164 1979
2050 (T) 2093 2163 1979
2000 (M) 2001 2009 2043 (Mc→M) 2001 2009 2043 1979-1981 冷房化,乗務員室扉埋め,運転台機器撤去(Mc→ M),車番変更無し
2050 (T) 2052 2056 2060 2094 (Tc→T) 2052 2056 2060 2094 1979-1981 冷房化,乗務員室扉埋め,運転台機器撤去(Tc→ T),車番変更無し
2050 (Tc) 2050A 2154 1984 六甲事故の2050廃車に伴う代替で改番,冷房化
2050 (T) 2055A 2059A 2153 2155 1985 冷房化,能勢譲渡車代替として同番号に改番
2071 (T) 2173 2176 2178 2182 2183 2185 2186 2188 2189 2190 2191 2023 2026 2028 2032 2033 2035 2036 2038 2039 2040 2041 1976-1984 Mc→T,電装解除(1970開始),冷房化,運転台撤去,改番し2071形式編入(2030はT車として能勢譲渡)
2071 (T) 2171 2172 2174 2175 2177 2179 2181 2184 2187 2021 2022 2024 2025 2027 2029 2031 2034 2037 1976-1984 M→T,電装解除(1970開始),冷房化,改番(原番号+150),2071形式編入
2071 (T) 2071 2074 2077 2079 2081 2083 2084 2086 2087 2089 2090 2091 2071 2074 2077 2079 2081 2083 2084 2086 2087 2089 2090 2091 1976-1984 Tc→T,運転台撤去,冷房化,車番変更無し,2081, 2083, 2084, 2086は5000系組込み
 【能勢電鉄1500系】
1500
(Mc)
1500-1505 2101 2103 2107 2108 2110 2105 1983-1985
600V結線に復元,冷房化,能勢電鉄へ譲渡
1580と1530はその後再改造で乗務員室復活, 1580→1560 (T→Tc), 1530→1510 (M→Mc)に変更
1530
(M)
1530-1535 2100 2102 2106 2109 2111 2104 1983-1985
1550
(Tc)
1550-1555 2150 2152 2156 2158 2159 2161 1983-1985
1580
(T)
1580-1585 2151 2055 2157 2160 2059 2030 1983-1985
 【能勢電鉄1700系】
1700
(Mc)
1700-1708 2003 2044 2017 2005 2014 2013 2019 2020 2011 1990-1992 改番,能勢電鉄へ譲渡
1730
(M)
1730-1738 2004 2008 2006 2042 2000 2012 2018 2002 2010 1990-1992
1750
(Tc)
1750-1758 2092 2058 2067 2054 2050 2062 2068 2070 2064 1990-1992
1780
(T)
1780-1788 2061 2063 2057 2053 2051 2177 2187 2078 2072 1990-1992
 ・Aは2代目
■ 1960年・4両編成 (神戸線)
←梅田 三宮→  
2050F
1次車落成時2M2T,M車はダブルパンタ搭載
■ 1976年頃・7-8両編成 (神戸線)
←梅田 三宮→  
2050F
非冷房

トップナンバー2000を含む7両,妻部の梁(貫通扉無)にローレル賞マーク掲出
Nゲージ
2056F
非冷房

堂々たる8連非冷房編成,2021系のM車2024を電装解除し組み込み,2024のパンタ台は残存
2060F
非冷房

梅田側3両は1961年度,他4両は1962年度製
2162F
非冷房

2100系5両を含む7連,2100系5両は1962年度,2000系2両は1961年度製
■ 1979年頃・8両編成 (神戸線)
←梅田 三宮→  
2054F
冷改

2004の梅田寄り妻の梁部にローレル賞マーク掲出,2172は2022を電装解除した改番車
2062F
冷改

8両化にあたり2012と2013の間に2171を挿入,2171は2021を電装解除した改番車
2058F
冷改

1979/8記載,2052・2089は同年月にTc→Tに改造,神戸方に2100系から改番した2両を連結
2092F
冷改

1979/8/26記載,2174は2024を電装解除した改番車で中間車化改造済
2068F
冷改

冷改時に2060Fの編成を前後入れ替え,2010と2011の間に2091を組込み,2091はTc→Tに改造済
2001-2013(奇) 2014 2016 2017 2019 2020
No.N8208-24A
1982年5月下旬
2092F
2007他 8両
臨時急行 仁川行
神戸線/今津線 西宮北口
梅田 2092-2042-2174-2043+2056-2006-2057-2007 仁川

仁川の阪神競馬開催日に運転される,神戸線梅田方面から急カーブの連絡線を通ってへ今津線仁川へ向かう2000系急行。
(2024/2/24ワイド化)
2050-2064(偶) 2065 2067 2068 2070
No.N8214-25
1983年1月4日
2058F
2058他 8両
特急 新開地行
神戸線 夙川→芦屋川

梅田 2058-2009+2052+2008-2089-2003+2094+2044 新開地


特急看板も誇らしげに神戸線を快走する2000系2058F。阪急の顔はこの2000系で確立されました。2050Fの妻面にはローレル賞のエンブレムが誇らしげに掲げられていました。
(2024/2/24ワイド化)
2092 2094
No.N8208-16A
1982年5月下旬
2092F
2092他 8両
臨時急行 梅田行
神戸線 西宮北口
梅田 2092-2042-2174-2043+2056-2006-2057-2007 西宮北口

冷改時2100系から改番された2092先頭の臨時急行。梅田行き特急ホームからの発車するところです。
(2024/2/24ワイド化)
1500-1505
No.117-15
1986年1月26日
1550F
1500他 4両
普通 川西能勢口行
能勢電鉄 絹延橋
妙見口 1550-1530+1580-1500 川西能勢口


元阪急2000,2100系を改造した能勢電鉄1500系,トップナンバー編成4両。電幕化改造のため標識灯が外側にシフトしています。
(2024/2/24ワイド化)

 2009年7月25日 ページ作成開始
 2009年8月15日 ページ公開
 2009年11月28日 編成表作成
 2011年11月19日 形式毎ページ分離
 2024年2月24日 写真ワイド化完了
 2024年2月24日 キャプション欄左右入替完了
 2024年2月25日 新製車一覧表を追加
 2024年2月25日 編成表見直し
 2024年2月25日 改造車一覧表を追加
 2024年3月2日 改造車一覧表見直し
 2024年3月2日 Safariで半角数字列が電話番号リンクされるのを無効化


■参考文献
 ・神戸大学鉄道研究会編 丙線 第30号 阪急電鉄特集 1984年11月発行
 ・篠原 丞 2000系から8000系に至る阪急電鉄新系列高性能電車の系譜 鉄道ファン 328 1988年8月号
 ・篠原 丞 2000系から8000系に至る阪急電鉄新系列高性能電車の系譜 鉄道ファン 332 1988年12月号
 ・阪急電鉄・諸河 久共著 日本の私鉄F 阪急 カラーブックス 保育社
 ・阪急電鉄開業100周年記念HANKYU MAROON WORLD 阪急電車のすべて 2010 阪急コミュニケーションズ
 ・山口益生 阪急電車 JTBパブリッシング 2012年
 ・Wikipedia 阪急2000系電車


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