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お召列車

 お召列車は,天皇・皇后両陛下の行幸啓に際して運転される特別列車で,鉄道開業時からの長い歴史があります。近年においては,特に春の全国植樹祭や秋季国体開会式,全国豊かな海づくり大会,国賓のご案内など,公式行事には,1号御料車と4両の供奉車から成る1号編成が使用され,EF5861を筆頭とする磨き上げられたロイヤルエンジンが牽引する形で運行されてきました。しかしJR移行後,1号編成の運用範囲は東日本管内に限定されてしまった上,航空機や新幹線,特急のグリーン車をご利用になることが多く,運行の機会は極めて少なくなりました。さらに,2007年7月にはE655系が落成,2008年から使用開始され,鉄道開業以来の長い歴史を持つ,客車列車によるお召列車は終焉を迎えました。なお,JR西日本管内においては「サロンカーなにわ」が使用されており,今後も動向が注目されます。ここでは私が撮影した1号編成に関するお召列車に限定し,新しい行事から順に並べてあります。

年月 内容 御召本務機
2002年(平成14)6月 山形県全国植樹祭 DD51 842
2001年(平成13)10月 みやぎ国体 DD51 842
1999年(平成11年)4月 ルクセンブルグ国王迎賓 EF58 61
1997年(平成9年)10月 岩手県全国豊かな海づくり大会 DD51 842
1996年(平成8年)10月 ベルギー国王迎賓 EF58 61
1986年(昭和61年)10月 かいじ国体 EF64 77
1985年(昭和60年)10月 わかとり国体 DD51 1120
1985年(昭和60年)3月 須崎御用邸ご静養 EF58 61
1984年(昭和59年)9月 福島県フルムーンご旅行 EF58 61,ED75 121,ED77 12

1号編成

 1号編成は1号御料車を中心に供奉車4両を伴って編成されます。1号御料車は昭和天皇の御乗用として1960年に国鉄大井工場で製造されたもので,1号を名乗る御料車は1876年製の2軸客車の初代1号,1932年に製造された2代目1号(現3号)に次ぐものです。2代目1号御料車と区別するために新1号御料車とも呼ばれます。供奉車は,2代1号御料車,2号御料車(皇后用・2代目)製造の際に同時に製造された鋼製車を20系客車のように電源車を持つ固定編成方式に改造して用いています。下表は新1号編成につき,編成順に整理しました。

形式 製造/改造年 製造所 仕様
供奉車
461号
1932年新製
1960年改造
小倉工場 3軸ボギー台車TR73を履くニ・三等・荷物合造車。編成の最前位に連結される。ニ等室,給仕室,湯沸所,荷物室,トイレ,三等室,車掌室に区分。二等定員12人,三等18人,自重38.8tであった。1960年に他の供奉車とともに固定編成方式に改造され,ニ等室(旧三等室)の定員が16人に減少。460号のような大きな改造はされていない。
供奉車
330号
1931年新製
1960年改造
大井工場 一等車。1号編成用として製造。前位側に共進所(調理室),後位側にトイレと洗面所を有する。定員27人。1人掛けの回転椅子を備える。自重38.7t。1960年固定編成方式に改造され,床下に冷房装置を搭載,風道を客室内に立ち上げたため定員が25人に減少。外観上は窓1個が埋められた。台車は3軸ボギーTR73から2軸ボギー台車のTR65に交換され自重38.4tに減少。
1号御料車 1960年新製 大井工場 昭和天皇の御乗用として1960年に製造。車体は20系客車をベースとし,鋼体を厚く,窓を防弾ガラスにする等の保安対策を施している。従来の旧形客車ベースの御料車とは異なりウィンドウシル,ヘッダーのない平滑でシンプルな外観が特徴。台車は空気バネのTR65。車内は前位から出入口・次室・御座所・御休憩室・御化粧室・トイレ・配電室が配置される。デッキは観音開き。内装は総絹張り。御座所の天井は平天井で,20W蛍光灯を80本使用し白いアクリル板を透かして照明する光天井となっている。側窓は複層ガラスで御座所の中央1枚のみ電動開閉式,他は固定窓。御座所にはソファの他,テレビ,ラジオを備え付け冷暖房も完備。外装はラッカー塗装で,ワックスで磨き上げている。側面上下の帯と窓枠には金箔を貼り付けている。天皇乗車中に限り御座所中心の窓下に天皇家の十六弁八重表菊紋の御紋章を取り付ける。車体幅は御紋章の厚みを考慮し20系の広幅車体を採用せず,裾絞りのない垂直な側板形状としている。
供奉車
340号
1931年新製
1960年改造
大宮工場 一・二等合造車。一号編成用として製造。前位寄りに一等室,後位寄りにニ等室,中間にトイレ・洗面所を配する。定員は一等16人,二等30人。一等席には1人掛の回転椅子,ニ等室には固定式ボックスシートを備える。自重39.0t。1960年に固定編成方式に改造,床下に冷房装置を搭載。台車も三軸ボギーTR73から空気ばねの2軸ボギーTR65に交換され自重は38.1tに減少。
供奉車
460号
1932年新製
1960年改造
小倉工場 461号と同じ3軸ボギー台車TR73のニ・三等・荷物合造車で,編成の最後位に連結される。ニ等室,給仕室,湯沸所,荷物室,トイレ,三等室,車掌室に区分。二等定員12人,三等18人,自重38.8tであった。1960年,1号御料車の落成に伴い,ディーゼルエンジン2基を搭載した固定編成方式の電源車に改造,編成全体にAC600V/60Hzを給電する。改造後は前位から給仕室・湯沸室・荷物室・技術員室・トイレ・機械室・車掌室。自重51.6t。

1号御料車
No.363-14
1996年10月24日
1号御料車
御召列車
両毛線 岩舟←大平下
御座所に菊の御紋章を掲出し両毛線を走行中の1号御料車。天皇皇后両陛下,ベルギー国王アルベール2世・王妃両陛下,ならびに同国皇太子殿下が乗車されています。左側が前位側で,出入口・次室・御座所・御休憩室・御化粧室・トイレ・配電室の順に配置されています。中央の大きな窓のある部屋が御座所。十六弁八重表菊紋の天皇家御紋章は陛下のご乗車時のみ取り付けられます。前後の供奉車340号,330号と同じく,空気バネの2軸ボギー台車TR65を装備しています。御座所にはテレビがあり,左側の供奉車340号の屋根上にテレビアンテナが設けられています。
(2022/09/07追加)
No.387-21
1999年4月8日
1号御料車
中央本線 大月
1号御料車は1960年大井工場製。中央窓下に御紋章取付座のリングがあります。手前が前位側。観音開きの扉はかなり奥に位置していることがわかります。妻面にある金色の縦棒は,1号御料車の形式番号である「1」。御休憩室の床下には20系客車と同様なユニットクーラーが確認できます。また,台車のTR65は軸箱の中心から台車枠にかけてオイルダンパが設けられています。
(2005/02/26追加 2022/09/07ページ移動,ワイド化)
No.387-22
1999年4月8日
1号御料車
中央本線 大月
御座所。陛下がお立ちになった際にお顔が拝せるよう縦寸法の大きな窓となっています。御紋章取付座のリングはカメラのレンズマウントに似たバヨネット。窓枠と金帯には金箔が貼られています。
(2022/09/07追加)
No.387-29
1999年4月8日
1号御料車
中央本線 大月
1号御料車は前後の供奉車のようなウィンドウシル・ヘッダーがないすっきりした外観と角に丸みを帯びた窓が特徴。御座所の窓は赤外線カットのためか,この角度から見るとかなり青みがかっています。1号御料車の後位側の屋根上には151系と同様な円筒形のラジオアンテナ,供奉車330号の車端部には無線アンテナが見えます。
(2022/09/07追加)
供奉車330号
No.387-20
1999年4月8日
供奉車330号
中央本線 大月
1931年に大井工場で製作された一等車で,1960年の改造で中央付近の床下に20系と同様のユニットクーラーを搭載,風道設置のため中央の窓が1つふさがれています。このため,もともと27人であった定員が25人に減少しており,ドア横に金文字で'ロ25'と記載されています。台車は1号御料車と同じ2軸ボギー台車のTR65に交換されています。自重38.4t。御料車内のテレビ受信のためのVHFアンテナが屋根上に装備されています。
(2005/02/26追加 2022/09/07ページ移動,ワイド化)
No.363-11
1996年10月24日
供奉車330号
御召列車
両毛線 岩舟←大平下
330号は一等車であり,車内にはゆったりとした回転椅子を25脚備えています。この写真では右の御料車側が前位にあたり,白っぽい窓が2つあるところが共進所(調理室)。陛下にお出しするお茶などはこの共進所で準備fされ,御座所に運ばれます。
(2022/09/12追加)
供奉車340号
No.387-23
1999年4月8日
供奉車340号
中央本線 大月
1931年に1号編成用として大宮工場で製造された一・二等合造車で,写真左側の前位寄りに一等室,後位寄りにニ等室,その中間にトイレと洗面所を設けています。定員は一等16人,二等30人で,一等室には回転椅子を16脚配置しています。ニ等室は窓2つごとにボックスシートを7つ半設置。1960年にニ等級制に移行したため,定員は金文字で'ロ46'と記載されています。この車両も元来3軸ボギー台車TR73を履いていましたが,TR65に換装されています。床下手前には大きな水タンクを備えています。
(2005/02/26追加 2022/09/07ページ移動,ワイド化)
No.363-17
1996年10月24日
供奉車340号
御召列車
両毛線 岩舟←大平下
左側が一等室で,室内には330号と同様の1人掛けの回転椅子を16脚備えています。この写真ではベルギーの随行者が乗車しています。一方,中央のトイレ・洗面所を挟んで右側の2連窓は2等室で,ボックスシートを備えています。こちらに乗車しているのは国内関係省庁の随行者あるいはJR幹部と思われます。
(2022/09/12追加)
供奉車460号
No.387-26
1999年4月8日
供奉車460号
中央本線 大月
1932年に小倉工場で新製されたニ・三等・荷物合造車で,元は461号と同じ外観でしたが1960年の固定編成改造で電源車としてディーゼルエンジン2基を搭載したため屋根,窓割り,床下とも大きく変貌しています。左側の赤茶色の鎧戸がある2連窓と右側の車掌室の部分のみが原形。屋根周りはエンジン排気口が設けられマヤ20,カニ21など電源車に共通した重厚ないでたちとなっています。三軸ボギー台車TR73はコロ軸受けに改造されています。この写真を撮れただけでも大月まで行った甲斐がありました。
(2005/02/26追加 2022/09/07ページ移動,ワイド化)
No.387-24
1999年4月8日
供奉車460号
中央本線 大月
赤茶色の鎧戸は2等室。ディーゼルエンジン搭載のため,荷物室扉も新製時より狭幅になっています。
(2022/09/09追加)
No.387-25
1999年4月8日
供奉車460号
中央本線 大月
給油口と金文字の形式。
(2022/09/09追加)
No.387-28
1999年4月8日
供奉車460号
中央本線 大月
床下には白く塗られたディーゼルエンジンの燃料タンクがあります。
(2022/09/09追加)
No.363-19
1996年10月24日
供奉車460号
御召列車
両毛線 岩舟←大平下
ディーゼルエンジン搭載のためすぐ判別できる460号。右側の車端部は車掌室,左側の2連窓は2等室で制服組が乗車しています。また,各デッキにも添乗者を配置しています。
(2022/09/12追加)
供奉車461号
No.112-26
1985年10月21日
DD511120+1号編成
山陰本線 倉吉→松崎
1932年に1号j編成用として小倉工場で誕生したニ・三等荷物合造車で,ニ等室,給仕室,湯沸所,荷物室,トイレ,三等室,車掌室にレイアウトされています。写真で手前の車掌室のすぐ右側,600mm幅の窓が5つ並んでいる部分が三等室でボックスシートがあります。1960年に固定編成方式に改造され,ニ等室(旧三等室)の定員は16人に減少しています。3軸ボギー台車TR73はオリジナルのメタル軸受けであり軸箱が目立ちます。供奉車の屋根はこの時点ではキャンバス貼りです。
No.387-18
1999年4月8日
供奉車461号
中央本線 大月
妻板の梯子がアクセントになっている461号。定員は手前の扉下に金文字で'ロ12 ハ16'と2段に記載されています。1999年4月のお召しに際してTR73の軸受が従来のメタル軸受からコロ軸受に改造され,軸箱が削除されています。また,屋根がキャンバス貼りから塗装に変更されており,屋根の色が薄くなりました。
(2005/02/26追加 2022/09/07ページ移動,ワイド化)
No.387-19
1999年4月8日
供奉車461号
中央本線 大月
コロ軸受に改造された3軸ボギー台車TR73。
(2022/09/09追加)
No.363-08
1996年10月24日
供奉車460号
御召列車
両毛線 岩舟←大平下
右側が前位で,ニ等室,給仕室,湯沸所,荷物室,トイレ,三等室,車掌室となっており,ニ等室にはベルギー遂行者が乗車しています。
(2022/09/12追加)

 2002年12月22日 作成
 2007年6月17日 ページ階層化
 2022年9月7日 1号編成の解説,表および各車両の写真追加

■参考文献
 Wikipefdia 皇室用客車